人々の心に響け、路上のピアニスト 独ミュンヘン
4月 4th, 2008 10:12 amドイツ南部ミュンヘンなどの広場にグランドピアノを置き、道行く人々に名曲を聴かせる“路上のピアニスト”がいる。氷点下の厳しい今年の冬も演奏はたゆまず続けられ、多くの人の心を揺さぶった。鍵盤が生み出す音色は本格的な春到来を前に美しさを増している。
このピアニストは、マケドニア出身のダニエル・ステンウェイ氏(27)。ミュンヘンと“音楽の都”オーストリア・ザルツブルクの間を数週間ごとに車で往復し、両市の広場などにピアノを降ろしては、ショパンなどの名曲を響かせている。路上で演奏する理由について、「お金を払ってコンサートに来る人以外にも音楽の美しさを知ってもらいたい」と語るが、一部の若い人気演奏家を集中的に売り出す商業第一主義の有名音楽プロダクションへの抵抗心も見て取れる。
ケント・ナガノ氏をバイエルン州立歌劇場の音楽総監督に据えるミュンヘン、音楽の天才モーツァルトを産んだザルツブルクには、耳の肥えた音楽ファンが多いが、路上での演奏に歩みを止め、静かに耳を傾ける人々も少なくない。
欧州のコンクールで入賞した経験を持ち、プロとして歩み始めた同氏は数年前、たまたま演奏を目にした独ポルシェの幹部に請われて、同社文化施設の開館式で演奏したこともある。
今年の欧州の冬は寒く、ミュンヘンとザルツブルクにはアルプスの山々から冷たい風が依然吹き付けている。プロとして、指がかじかむなど劣悪な環境下であえて、演奏を披露することには勇気がいるが、「これは自分との闘いでもある。これを乗り越えられれば、本格的に訪れる春には、もっと美しい音色を響かせることができる」と語った。